
政治家に大事なことは色々あるが、一番大切なのは「真摯」であるということだと思う。
別に政治家だけではないが、真摯に向き合う姿勢は本当に大事なことだと思う。
「真摯」とは、「真摯に検討する」とか「真摯な対応」などの表現をよく耳にするが、真面目でひたむきなことや事を一心に行う様を表す言葉だ。
頭が良くても、行動力があっても、まずは真面目で誠実な人柄がなければ、誰も耳を傾けないし、そういう人でなければ何も成し遂げないだろう。人柄だけ良ければ後はどうでも良いと言っている訳ではなく、先ずは人柄あってと言っているだけだ。
では、この「真摯」という言葉の「摯」って漢字の意味は何だろうか。
辞書を色々引いてみると、「摯」の意味は、辞書によって解説の内容が違うが、次のような意味の字と書かれている。
【摯】
とる。しっかりと手にもつ。てあつい。まごころがある。
解字をしていくと本来の意味が分かるかと思い、解字の説明も読んでみた。
まず、「摯」を分解すると、「執」と「手」に分かれる。
さらに、「執」は「幸」と「丸」で成り立っている。
「幸」はご存知の通り、幸福、幸運にあるような「さいわい」という意味の文字だが、そもそもは手枷(てかせ)を表しているそうだ。
「幸」が手枷とは、「さいわい」には程遠い意味合いだ。
「丸」は人がひざまずく姿を表していて、「執」は手かせをはめて人をとらえることを表している。
【執】
①手にとる。しっかり持つ。「執筆(シツピツ・シユヒツ)・執刀」
②特定の仕事や職務を引き受けて処理する。とりおこなう。「執行(シツコウ・シユギヨウ)・執務・執権」
③かたく守る。こだわって離さない。心がとらわれる。「一方に執(シユウ)する」「執心(シユウシン)・執着(シユウジヤク)・固執」
広辞苑(c)岩波書店
という訳で、少し横道に逸れるが「幸」は手枷から免れるということから「さいわい」という意味なのだそうだ。
この「執」に「手」が付き、「とる」や「しっかりと手にもつ」という意味になり、ひたむきさや真面目といった言葉に繋がっている。
確かに「執着」の「執」のように「こだわる」や「かたく守る」というのも通ずるところがある。
政治家の方が「真摯」と言った場合、この言葉の意味合いを思い返してほしい。
真面目にひたむきに問題と向き合って、どうすべきかを一心に考え、その姿勢をかたく守る誠実さが、この言葉に籠められている。
真摯に向き合うということは、しっかりその問題を握らないといけないということであり、一貫した信念で解決しようとする姿勢でなければならない。
問題が起こったとき、「真摯」と口にはされるが、その真摯さは普段の姿勢に表れていて、そういう時だけ都合よく「真摯」と言っても誰も信じない。
真面目に向き合っている人は、変に主張しなくとも、そのひたむきさや誠実さが伝わってくるものである。
口先だけの綺麗ごと、その場を取り繕う弁解は、いくら言葉を尽くしても伝わらないし、信用もされない。
常日頃の真面目さこそが、信頼を得るものである。
過去より不正献金、汚職、癒着等々のキーワードを耳にし、政治不信が慢性化しているというが、問題の根本は「真摯」であることを忘れているのではないかと思う。
制度や構造を改革するのは良いけれど、真摯でない人達がいくら考えても駄目だろうという皆の思いが、諦め感になっていて、いつも想像通りの結果で終わっている。時間が掛かると言うが、何年そんなこと言ってるのと思ってしまう。
結局は真面目に取り組んでいないから成し遂げられないだけだと思う。
私のようなサラリーマンでも同じことで、問題が起こった時に真摯に向き合うか向き合わないかで結果は変わってくる物である。
くどいようだが、先ずは真面目に、誠実にが肝要だと思う。
では、最近の政治家の方を見ていて、そう思える人はと考えると、与野党関係なく少なからずおられるように思う。
絶対数としては、少ないかも知れないが、そういう人達が増えていけば、徐々にでも良い方向に向うと思っている。
私が真摯で信頼できる人だと思う政治家さんは、元総理の安倍さんや現総務大臣の原口さんだ。
このお二人は、この「真摯」という言葉を感じる人である。
お二人とも理念や信念は違うかも知れないが、その行動や発言をお聞きする度に、誠実さやひたむきさを実感する。
例えば、原口さんは「たかじんのそこまで言って委員会」という読売テレビの番組にパネラーとして多く出演されていて、様々な問題に考えを述べられてきた。
毎回、その受け答えは、一般の人にも分かり易い言葉で語られ、姿勢や考えを理解しやすく説得力のある説明をされる。常に人の意見も聞き、謙虚だが信念を持ち発言される姿勢を見る度に、真面目に政治と向き合っておられると実感している。
その真面目さは、ちょっとしたエピソードでも感じることができた。
ある街頭インタビューで大阪のおばちゃんたちに原口さんの印象を尋ねるビデオが放送されたことがあった。大阪のおばちゃん達というと思ったことは何でも正直に話す人達だ。そのおばちゃん達が、原口さんの太い眉をどうにかした方が良いといったことを言って、ちょっと笑ってしまう内容だった。
後日、原口さんは大阪のおばちゃんに言われたことを気にして、誤って片方の眉を少し剃り落としてしまい、番組で愚痴っていた。
こんな笑い話を例に上げて申し訳ないが、偶然街頭インタビューに答えたおばちゃんの言葉でも気にする繊細さからも真面目な人柄が伝わってくる。
原口さんのホームページも幾度か拝見したが、ストリーミングの動画を使ったり、日々の活動や主張をまめに掲載れており、やはり真面目さが伝わってくる。
安倍さんは、北朝鮮の拉致問題でも被害者家族のために奔走し、大きな成果につながった。その真面目に向き合う姿勢は総理になっても変わらなかった。
憲法改正を掲げ、戦後レジュームからの脱却、美しい国日本など信念を持って政治に取り組まれたが、悲しいかな その生真面目さゆえに過度のストレスで体調を崩され辞職された。
期待していただけに本当に残念だった。
他にもお二人のような方も少なからずおられるかと思うが、目先だけのパフォーマンスだけでなく、日々の真摯な活動を続けることで、後々大きな信頼に繋がるものだと思う。
もちろん信念があっての上だが、政治家にはバイタリティ、行動力、弁舌、などなど多くの資質が必要だが、真摯であることで成り立っていることを思って活動して頂きたいものだ。
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