今日は、1日お休みを取り和歌山の方に出掛けた。
20歳代前半の頃、お世話になった先輩に会うのが目的であった。
昔々、会社に入社した頃は、大阪城の近くにあるビルに勤めていた。私たちの仕事は、コンピュータを使って社員の給与計算をしたり、経理や固定資産管理、建設工事の積算など社内業務システムの設計や運用を行っていた。入社した時、私はそのコンピュータシステムのオペレーターとして配属された。職場には6つほどの係があり、当時100人ぐらいの社員がいた。今日会った先輩は、その中の資料管理という担当の方で、システムの入力となる帳票、電子データの受付やアウトプットの仕訳・発送をされていた。私の職場で処理して印刷した帳票を毎日のようにその資料管理に持って行った。そのほかの係とも行き来はあったが、特に資料管理係との関わりは多かった。
今日、お会いした先輩は、私が入社する前からおられた本田さんという女性と、入社して4年ぐらいの頃に転勤されてきた川口さんと丸谷さんの3人。本田さんは私より一回り上、川口さんと丸山さんは6つ上の先輩。当時は、この3人の先輩には大変可愛がっていただいたし、お世話にもなった。私は、職場で一番若かったこともあり、何かと皆さんに可愛がってもらった。当時の私の愛称は「キーボー」。みんな、私のことをキーボー、キーボーと呼んでいた。
当然ながら最近はそう呼ばれることはないが、その当時お世話になった先輩に会うと今でも皆さん「キーボー」と呼ばれる。50歳手前になり、懐かしいような気恥ずかしいような感じだ。
当時は、1980年代。今から30年ほど前になる。まだ、パソコンも普及しておらず、携帯電話もなければインターネットなんてものもなかった頃だ。世間ではキャリアウーマンなる言葉が出始め、バリバリ仕事をする女性が増えてきていた。芸能界ではピンクレディや山口百恵さんが全盛で、西条秀樹がYMCAを歌っていた。今ほど時間の流れも速くはなく、不況不況と耳にすることもない活気のあった時代だった。
今、3ヶ月でする仕事も当時は1年ぐらい掛けていたんじゃないだろうか。良いか悪いかは別として、個人情報保護、コンプライアンス、セキュリティなんて言葉もないし、最近は日常茶飯事になってしまった自殺も少ない心のゆとりがある大らかな時代でもあった。
そんな時代だったので、職場もアットホームな雰囲気で、お互いに助け合うといった良い環境で仕事をしていた。必要以上に時間に追われることもなく、きっちり決められた仕事をして、早く仕事が終わった日はみんなで飲みに行ったり、週末や季節の折々に遊びに行く機会も多くあった。高額な給料をもらっていたわけではないが、今のようなギスギスした雰囲気は皆無の幸せな時代だったと思う。
今日お会いした3人がおられた資料管理という係は資料管と呼ばれていて、私が資料を持って行くと、「キーボー、ケーキあるから食べていき。」とか、面白い話があれば「お茶飲んでいき。」とか、長居してしまうことも、しばしばあった。それも場合によっては1時間、長いときなら2時間と話し込んでいた。今では考えられないような話だが、十分仕事もこなせたし、それで説教されるようなこともなかった。何とも良い時代だった。
本田さんは何でも話しやすいお姉さんのような人で、常に明るく話好きで、いつも「ガハハ!」と笑う楽しい先輩。資料管には、本田さん以外にも二人女性がいて、明るくて楽しい係だった。ある日の昼休み、ビルの前にある高速道路の向かい側の道を歩いていると、聞き馴染みのある声が聞こえてくるので声のする方角に顔を向けると、本田さんが「キーボー、どこ行くの?」と大きな声で呼んでいた。こちらも大きな声で「銀行にお金おろしに行くところ。」と答えると、「サフランのシュークリーム買ってきて~」と本田さん。「OK!」と返事をして銀行に行った。当時、組合の役員をしていたので、その役員手当ての5千円を引き出しに行くるところだった。5千円を引き出して、その半分を使ってシュークリームを買って帰った。あーあ見つかっちゃったと思ったが、その後みんなで楽しくそのシュークリームを食べた想い出がある。そんな感じで、若くて金もなかったが、毎日が本当に楽しかった。
川口さんや丸谷さんは年齢的にも一番近い先輩だったので、やはり何やかんやと声を掛けてもらったし、一緒に遊びに行ったり、飲みに行ったりしていた。川口さんには、結婚した時に引越しの手伝いまでしてもらい、面倒見の良い気さくな先輩だった。
本田さんは、今は同じビルで仕事をしているので顔を見たり挨拶はしているが、中々ゆっくり話す機会もなかったし、川口さんとは10年ぐらい会っていないし、丸谷さんとは20年ほどお会いしていない。そういう訳で、今日お会いするのは本当に楽しみだった。今日の計画は、豪快な本田さんに声を掛けてもらったので、これまでのように情報も少なく、丸谷さんと会えることは知らなかった。良いように思えば、サプライズになって良かったと思う。
今日、先輩と訪れた先は、和歌山県有田郡広川町にある滝原温泉・ほたるの湯という広川町が運営している温泉である。食事も出来てゆっくり温泉にもつかれるところだ。場所は川口さんが事前に調べてくれていた。さすが、気配り目配りの川口さんである。
丸谷さんの車で現地に到着したのが11時頃。先ずは4人で昼食をとった。何やかんやと昔からの思い出話に花が咲き、3時間ぐらいかけて食事をした。当時のエピソードやそれぞれの近況を話したり、皆一様に年をとって体のあちこちにガタがきたとか、他愛もない話は中々尽きることはなかった。
皆 年はとって見た目も年齢相応になってしまったけど、話をしているときは当時に戻った感じがして、懐かしくもあり嬉しくもあり、良い時間を過ごせた。
話は尽きなかったが帰る時間もあり、その後ゆったり温泉につかり帰路についた。温泉は露天風呂もあり、結構広々として気持ちの良いものであった。天気も良く、柔らかな日差しを浴びながら露天風呂にのんびりつかるのもまた格別だった。なんともゆったりして、昔話も出来、有意義な1日になった。
本田さんや川口さん、丸谷さんに感謝感謝である。
川口さんが、「昔の仲間に会うと自分が当時に戻れるのが嬉しい」と言っていたが、本当にその通りである。昔ばかりを見て懐かしんでいるというわけではなく、たまにそういう機会があると、普段の嫌なことも忘れられるし、またそういう機会があると思うと普段の生活も楽しくなる。
たまには、昔を懐かしむだけでなく、実際に顔を見て馬鹿話をする機会を設けるということは、本当に良いことだ。
昔の仲間と顔を合わすことで良いストレス発散になる思うので、最近、楽しいことがないと嘆いている人は、是非そういう機会を持って欲しいものだ。
という訳で、本田さん、川口さん、丸谷さん、今日は本当にありがとうございました。
次の機会を楽しみにしています。
P.S. 関西近郊の方へ「ほたるの湯」情報は、下記のURLにアクセスしてください。